トロンボーン伊藤の
ホーンセクションよもやま話集

その11:管楽器奏者の個人練習風景

さてさて、楽譜の書き方だの、管楽器の前提知識だの、 と言ったウンチクも(笑)ここまでにして、ようやく演奏の話題に移る。 このページでは、筆者の個人練習のノウハウをまとめてみた。 管楽器をやられている読者のノウハウ伝授のメールを待つ! (^^)

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管楽器の個人練習場所は?

前にも書いたとおり、管楽器は音が大きいので、自宅での練習は難しい。 では、管楽器のための個人練習環境には、どのようなものが考えられるだろう。 以下、思いつくままに書いてみた。

その1:管楽器奏者だけでもバンド用のスタジオに入る。 音楽スタジオの多くが、入室者1人または2人、当日予約の場合に限り、 格安に利用させてくれるサービスをやっている。 1人1時間800円くらいが相場か。 当日予約なので、行ってみて「今日は空きが無い」 などと言われると悲しい(電話くらいかけてから行けよ)。 筆者は学生時代、実家の最寄駅に1人1時間500円という格安スタジオがあったので、 キーボードの個人練習に多用していた。 現在は職場の最寄駅にも自宅の最寄駅にもスタジオがないこともあって、 個人練習サービスでのスタジオは利用していない。

その2:屋外で練習する。 筆者は東京都町田市の公園や、多摩川の土手などで、 ときどき個人練習をしている。 しかしこの方法は、 屋外で大きな音の出せる空間が近所にある、という人でないと使えない。 また、当然ながら 夏は暑く、蚊に刺されたりもする。 冬は寒く、楽器が冷えるので吹奏感の差が大きい。 さらに、風が強ければ楽譜を見ることが難しくなる。

その3:サイレントシステムを用いる。 筆者は YAMAHA 製の 「サイレントブラス」 という商品を利用している。 この商品は、金管楽器のベルをピックアップマイクのついたミュートで塞ぎ、 マイクが拾った音をヘッドフォンで聴きながら楽器を吹く、 という目的で開発されたものである。 なかなか有用な商品であり、自宅での個人練習に時々用いている。 しかし、 これを装着しなかった時との吹奏感の差が大きいので、 常時これで練習してると、案外悪いクセがつきそうな気がする。 また、サックス用のサイレントシステムの開発予定はないらしい。

その4:スタジオ以外の防音室を用いる。 代表例として、カラオケボックスが考えられる。 別ページで述べるが、筆者の参加しているホーンセクションは、 カラオケボックスでセクション練習をすることが多い。また、 数十万円の出費をいとわないのなら、 自宅に防音室を作ることも可能である。 筆者の参加しているホーンセクションのサックス奏者は、 自宅に電話ボックス型の防音空間を持っている。 ただ、その形状の都合上、トロンボーンには使えない。

というわけで、それなりにいろいろな練習環境はある。 しかし忙しい社会人ゆえ、毎日この環境が利用できるというものでもない。 ヘッドフォンで練習できる他の楽器の人がうらやましいと思うことも、 ないわけでもない。

読者(ボーカリスト)の意見:
私も練習場所には困ってるのです。 でも今度、カラオケBOXに挑戦してみようかな、と思いました。 スタジオでの個人練習ですと、 1時間しか使えないことが多いですからね。 その点、カラオケBOXですと、延長できますし。 ただほんの少し、恥かしかったりするところが... 近い内にチャレンジしますので、その報告を兼ねて、 またメールさせていただきたいと思います!

筆者より:
実は筆者はひとりでカラオケボックスに入ったことがないのです。 個人練習の方法をツラツラと書きましたが、 筆者はほとんど公園とサイレントブラスで済ませています。 カラオケボックスはもともと唄うための場所なんですし、 最近は練習と称してひとりでカラオケボックスを利用するカラオケマニアも多いですから、 慣れればボーカルの練習目的にも照れずに使えるようになるんじゃないでしょうか? (無責任なコメントですみません)
話は変わりますが、 スタジオの個人練習利用って1時間しか使えないのが普通なんでしたっけ? この点についても、情報をお待ちしております。

読者(サックス奏者)の意見:
私も学生時代には河原や公園でも練習しましたが、 天候、気候に左右されやすく、また公園などでは夏は虫、 夜は変質者への恐れというものに邪魔されます。 またトイレの心配も。。。
たまたま学生の時のバイト先がカラオケも経営していたので、 そこで楽器も置かせてもらい、ただで練習してました。 ただし、ただということと従業員が知り合いということで、 混み合う時間帯などは遠慮していました。

就職してからは、職場のそばに、人気の少ない海だったことがあり、 そこで練習してたことがあります。 開放感があり、不思議と練習に集中できるのですが、 塩によるサビが心配でやめました。

で、今は結局1時間680円で飲み物もつく某カラオケに行っています。 安いだけあって防音があまりよくなく、 渋谷のような客の多いところは断られたりするし、 こちらも気を遣うので、繁華街には行きません。 土日ならオフィス街のカラオケでは心置きなくやれます。 昼間は安いですし。

ただ、部屋が狭い上に壁は音を跳ね返すので、自分の音が よくなったような気がするかもしれませんが。。 それに甘んじなければ良い練習場所だと思います。。。 そしてもちろん、 料金システムが1人あたりいくらという場所を選ばないと、 かえって損をしてしまいます。。

筆者より:
非常に色々と工夫されているようですね。 私自身の練習場所探しの遍歴とのダブってみえて、共感をもちました。 私は夜に練習をする機会は少ない(朝や昼休みのほうが多い)ので、 夜の変質者という話は思いつきませんでした。 確かに夜の練習は注意が必要ですね。 騒音公害からみの暴力事件、なんてのも考えられますし ...
上記の通り、私はひとりでカラオケボックスで練習したことがありません。 防音がイマイチな上に、ひとりだと周囲が気になりやすいので、 かえって調子を崩してしまいそうな気がしてしまうんですよね。

さて、上記個人練習方法の中で「サックス用のサイレントシステムの開発予定はない」 と書いたが、なんと サックス用の消音練習器なるものがイシバシ楽器から発売された らしい。 サックスは構造上、音の出口がたくさんあるため、 それを全部ふさぐために楽器全体を包む袋状の構造になっている。 この消音器を使用しながらサックスを演奏する光景が、ここに載っている ので、ぜひ見てほしい。 ちなみに、この話題をふったサックス奏者らによると、この消音器について考えられる特徴として、

とのことである。 身近な知人では、この消音器を購入した人がまだいないので、 購入者が現れたら感想を聞いて追レポートをしたいところである。

読者(サックス奏者)の意見:
楽器を始めたての知識の薄いころに、サックスの消音器、 買ってしまいました。。。 でもHPに書いてあるように、キーがあたったりして、 よけいなところに余分に力を入れてしまうようになるので、 ひどく疲れました。 また、音が思いっきりこもってて、 音量もピッチも狂ってしまうと思われました。 ならばソフトケースとしてつかってやろうと思い、 しばらく使ってましたが、ある日ぼてっとそのケースを床に落としたら、 楽器の一部が曲がりました。。。浅はかでしたが。。

筆者より:
うーん、なかなか問題の多そうな製品なんですねぇ。 ご苦労のこと、ご察し申し上げます。 この話題、1999年頃の情報を掲載しているのですが、 いまでも販売してるのかなぁ ...


金管楽器の唇と音感の関係

われながら、トランペットやトロンボーンなど(いわゆる金管楽器) は、敷居の高い楽器であると思う。 なぜならトランペットやトロンボーンは、 唇をゆるめて低い音を吹き、唇を引き締めて高い音を出す などという、難解な技術が必要だからである。 正直いって、こんな簡略な説明を聞いただけで吹けるようになる楽器ではない。 この唇の操作は言葉で書き表せないほど微妙であり、 時間をかけて経験を積まないと習得できない難しいものであるように思う。 恥ずかしながら、15年以上も金管楽器をやっている筆者も、 唇の操作の未熟さによるミストーンは非常に多い。

さて、バンドの個人練習の過程で気がついたことがある。それは、

金管楽器演奏者(少なくとも筆者)は、耳に入ってくる
他の音の音程にあわせようとして唇を調節する

ということである。 たとえば、筆者はポータブルMDを購入するまで、 2000 円のポータブルカセット(しつこい)で、 バンドのデモテープを聴きながらそれにあわせて吹く、 という方法で個人練習をしていた。 しかし、カセットプレイヤーは機械ごとに回転速度が微妙に異なるので、 デモテープを録音した機械と違う機械で再生すると、 音程が微妙にズレることが多い。 ひどいときには半音くらいズレることもある。 念のために断っておくが、この現象は 2000円のウォーキングカセットに限らず、 もっと高級なカセットプレイヤーでも起こり得ることなので、 「もっと高級なポータブルカセットを買え」だけで済む問題ではない (笑)。 なにはともあれ、この練習法だと、

テープを聴きながら個人練習をするときには、
たとえテープの音程がズレていても、
無意識のうちに自分の音をテープの音程に
あわせようとして、無理な唇の操作をしてしまう

という問題点がある。 当然ながら、楽器の構造上、 テープの音程に自分の音程を合わせるには限界があるので、 音をハズすことが多くなる。 金管楽器は唇で音程を何種類も出すので、 無意識のうちに困難な音程を出そうとして自滅してしまうのだ。 サックスのように、「運指と音程は1対1対応(ですよね?)」 な楽器なら、テープの音程と異なる音程を自分の楽器が出していても、 諦めるしかないのだが。

さらに難しいことに、金管楽器(木管楽器もそうだけど) は環境の変化によって音程が敏感に変化する。 例えば金管楽器の場合、

こんな要因で音程が変化することが考えられる。よって、
「音程のズレたデモテープを聴きながら」
「サイレントブラスを使ったり、寒冷時に屋外に出たり」
して個人練習をすると、 二重に演奏者の音程感覚をハズしてしまうという悪影響が起こり得る。 だからといって 「こんな悪い環境で吹くくらいなら練習しない方がいい」 などとはゼッタイ言えない。 ただ、いざというときに調子を崩さないためにも、本番当日や全員練習日に、 このような環境で個人練習をすることは避けたいものである。

このような筆者の苦労も、いまは昔のこと。 いまでは筆者の参加しているバンドの多くが、 MDで演奏曲目をやりとりするようになった。 デモ演奏の配布がカセットからMDに移ったおかげで、 デモ演奏を聞きながらの個人練習で音感を狂わされることが無くなった。 おまけに、 「耳コピで楽譜をつくるときに、音程がズレているためにキーを間違える」 というミスもなくなった。 思えば、カセットでデモテープが届くと、筆者はまず最初に、 メンバーに各曲のキーを質問していたものだった。 それを質問せずに楽譜を書き上げて、 違うキーでマルマル何曲も楽譜をつくってしまい、 全部書き直しとなってしまった「若気のいたり」からの教訓である。 いまでも筆者は楽譜作成にパソコン等を使わないので、 キーが間違っていたからといって「ボタンひとつで移調!」 なんてわけにいかないから、キーの質問は必須だったのである。 デモテープにMDを用いるようになって、前述の個人練習の問題だけでなく、 耳コピのキー問題も解消された。筆者にとっては二重に嬉しいことなのだ。

さて、もし管楽器奏者のみなさんで、 環境と音程の関係を考慮した個人練習方法にノウハウのある方がいらっしゃいましたら、 筆者までメール していただけると幸いです。よろしくお願いします(こればっか)。

読者(元トランペッター、現ベーシスト)の意見:
音程の件は、私は(ラッパからベースに移った)今でも気をつけてます。 特にフレットレスベースを弾く時には。 ハイポジションに行かない限り、あまり指板を見ませんから、 勝手に左手で音程を合わせていますね。 まぁ、これがラッパ演ってた時みたいに自滅に繋がることはさほどないんですが、 一番泣くのは開放弦を使わなきゃいけなかった時です。 いきなり音程が「ガーン」とずれる。そうすると、仕方がないので 次のフレーズからは、開放弦を使わない運指にしてやったりします。
ベースの場合も、温度、湿度でネックの反り具合が変わって、 音程が変化してしまいますが、(特に湿度の変化が激しい時はひどい) 管楽器ほどの短時間で変わるわけではありませんから、まだいいですね。

読者(トロンボーン奏者兼指揮者)の意見:
音程重視の吹奏楽でバンド指導を4年間してきた身からですと、 まず、「絶対音感」の話になってしまいますが、 おぼろげな記憶で申し訳ありませんが、 「7歳くらいまでに音感を養う何かをしていると、 音程感がしっかりしてくる」ということを聞いたことがあります。 そういった経験がない人は、なかなか合わせようと出来ません。 違ったまま吹いてしまいます。音程を少しでもよくするためには、 やはりチューナーとロングトーンの練習が不可欠だと思います。

読者(トロンボーン奏者兼指揮者)の意見:
『サックスのように、「運指と音程は1対1対応(ですよね?)」』 という件。
管楽器や弦楽器(特にバイオリンの類:つまりフレットレスのもの) は、「作音楽器」と呼ばれます。これは、呼んで字のごとく、 音(ここでは音程)を自分で作っていく楽器なのです。 反対に作音できない楽器というのは、ピアノや木琴、鉄琴類など、 鍵盤系の楽器などです。 ひとつの運指、というか「この鍵盤は何ヘルツの何の音」 と決まっていて、変更できないのです。 (まあ、ピアノの調律とかキーボードのピッチ設定やトランスポーズ機能は別物と考えてください。) つまり、サックスも練習によっては音程を自由自在に操ることが可能なのです。 僕の勝手な見解ですが、アコースティック楽器で、かつ、 自分でビブラートを作れる楽器は「作音楽器」であり、 音程も自由自在なのだと思います。

「寒冷時に屋外で吹くと、息のスピードの違いから、 音程が低くなることが多い。」 ですが、これは息のスピードではなく、気温の関係です。
「サイレントブラスの着用によって管の長さが変わり、 音程が高くなることが多い。 」ですが、 ヤマハのサイレントブラスは、普通のミュートに比べ、 音程がミュートなしの時とほとんど変わらない設計になってます。 詳しいメカニズムは分かりませんが。
また、上記ふたつの件で音程がおかしくなってしまっても、 チューニング管でなんとかなると思います。 ご存知でしょうが、真冬の外でというのは大変ですが、 ウォーミングアップ練習を沢山しておき、管内を暖めていれば、 それだけ管の中の空間は暖まっているので、 音程が次第に上がってきます。

筆者より:
管楽器以外の方も苦労されてるんですね。 かつてカセットテープレコーダーに回転速度調節機能が流行した時期があって、 ピッチ調節に使うことができて便利だったのですが、 最近は少なくなったような気がします。ちょっと残念。 もっとも、ワタシが個人練習に使っている 3000円のウォークマンに、 そんな高級な機能がつくことは期待できませんが(苦笑)。
「7歳くらいまでに ...」の話は知りませんでした。 私は実は、幼少のときにピアノなどを習った経験もなく、 また小学校では音楽が苦手科目だったこともあって、 中学で吹奏楽部に入るまで音感とはマッタク無縁な子でした。 言われてみれば確かに、 中学・高校のクラブ活動では周囲の人より苦労してたかもしれません。
3つめの件は、まったくおっしゃる通りです。 ご指摘ありがとうございました。 会社員になって以来、例えば会社の昼休みとか、そういうわずかな(?) 時間に個人練習をすることが多いこともあって、 「ウォーミングアップにもなるかならないか」 という量の個人練習が増えたので、 私の場合「楽器が温まって音程が自然に上がる」 という恩恵にあずかることができていないみたいですね。


まだまだ内容追加中! また見に来てね。

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