その9:ホーン譜作成の予備知識(4)〜奏法
管楽器の前提知識、第4段として、ここではトランペット、 トロンボーン、サックスの構造や奏法の違いが生む問題点について述べる。 このページは筆者の私見を大きく含んでいるので、 特にトランペットおよびサックス奏者の反論を待ちたいと思う。
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前のページで、サックスは木管楽器に属し、
トランペットとトロンボーンは金管楽器に属する、ということを書いた。
両者の構造の違いは、奏法にも大きな違いを生む。
なんといっても最大の違いは、
金管楽器は唇の張力や口の形(シラブル)で音程を調節する。
低い音を吹くときは、唇をゆるめて口の形を「とぅー」というような感じにする。
高い音を出すときは、唇を引き締めて口の形を「てぃー」というような感じにする。
という技術を要する点である。つまり、
同一の指使い(トロンボーンの場合はスライドポジション)
で複数の音程を出す
のである。そこで金管楽器の音程を決定する方法についてまとめると、
という2種類の操作の組み合わせが用いられているわけである。
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に関する記述は、読者の方々の提案に従いました。 提案を下さった皆様、どうもありがとうございました。 |
金管楽器が音程の跳躍するフレーズを吹くとき、そこには唇の調節が入る。 これが以前に書いた、「管楽器は跳躍の大きいフレーズが苦手」 という特性の、金管楽器側の都合である。さらに注目すべき点として、 フレーズが跳躍して唇の調節が入るとき、 そこに金管楽器特有の「間」や「雑音」が入ることがある ということも知っておいていただきたい。 時として、それは表現のためのボトルネックとなることもあるし、 逆にそれがナンともいえない「味わい」「個性」になることもある。
トロンボーンのスライドが、管の長さを調節しているものだというのは、 見ておわかりの通りかと思う。実はトロンボーンのスライドと同じように、 トランペットの3本の指も、 管の長さを調節するために用いられている のだ。 あの3本のピストンを押すか押さないかで、息の通る経路が変わり、 それによって管の長さが変わって音程も変わる、というわけである。 もしトランペットの拡大画像(実物のほうがいいけど) を見る機会があったら、各々のピストンに管がついていることを確認してほしい。
狭い音域のフレーズをなめらかに吹くとき、 トランペットはタンギングをせずに指だけを動かして吹くことで、 いわゆる「スラー」を実現することができる。しかし、 トロンボーンはスライドを数十cm単位で大きく動かして演奏をするので、 その移動に間があくため、「スラー」を実現することは困難である。よって、 トロンボーン奏者は、「スラーで吹け」と言われたら、 誰にも気づかれないような弱いタンギングで音を区切る ことになる。 当然ながら、スライドの移動距離の大きさゆえ、 トロンボーンは速いフレーズに弱い。 いや、もっとポジティブな面に着目しよう。 演奏できるギリギリの速さのフレーズを与えられたときの、 トロンボーンのスライドワークのカッコよさ! これにはぜひ注目していただきたい。 サックスよりもトランペットよりもマイナーなトロンボーンの、 唯一といってもいい「売り」なのだから(爆)。
さて、非常にアマチュアレベルな、甘えた内容の解説を許していただきたい。
たとえば「どれどそ」というフレーズを、サックス、トランペット、
トロンボーンの3者が演奏するとしよう。
サックスは、このフレーズを滑らかなスラーで演奏することが出来る。 このスラーを「ど〜れ〜ど〜そ〜」と書くとしよう。
トランペットは、このフレーズを滑らかなスラーで演奏することが出来る。 ただし、「ど」と「そ」の間に、唇の調節による隙間が生まれる。 極端に書くと「ど〜れ〜どっそ〜」という感じの吹きかたになる。
トロンボーンは厳密な意味でのスラーはできないので、 すべての音をタンギングで区切ることになる。 極端に書くと「どっれっどっそっ」という感じの吹き方になる。
さあ、3者で一緒に吹いてみよう。
「ど〜れ〜ど〜そ〜」(サックス)
「ど〜れ〜どっそ〜」(トランペット)
「どっれっどっそっ」(トロンボーン)
さぁ困った。3人ともニュアンスが違うではないか。
.... と、これはチョットおおげさな書きかたをしてしまったが、
ホーンセクション内部でも、楽器の奏法の違いによって、
演奏にニュアンスに違いがでてしまうことがわかったであろう。
困ったことに、こういう
奏法の違いから生まれるニュアンスのズレは、
フレーズが単純であれば単純であるほど耳につく。
ホーンセクションと一緒にバンドをやった経験のある人の中で、
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読者の意見:
確かにおっしゃる通りですが、 「金管楽器は唇の張力や口の形(シラブル)で音程を調節する」 について、細かい事を言えば木管もそうです。 (以前フルート奏者であった僕) 木管については、オクターブキー等が付いている物も有りますが、 押せば鳴るという訳では有りませんし、リード楽器等は、 「プヒー」という音を出さないようにしなければ成りません。 金管は管が長いので、(ピッコロTpを除く)ペダルトーン (TbのBb1等)をあまり使用せず、かなり上の倍音を主に使う。 もともとバルブやスライドを持たず、 管を長くすることで色々な音程を出してきた楽器であるから、 当然ですけどね。 対して木管は数多くキーを配置し(主に半音間隔) マウスピース側から最初に開くキーまでの距離で音程を変えているが、 もちろん倍音も使用する。キーを動かさずに音程を変えることは、 木管にも可能である。 (あまり意味は無いけど) 「フレーズが跳躍して唇の調節が入るとき、 そこに金管楽器特有の「間」や「雑音」が入ることがある」について。 フレーズが跳躍しなくても、わざと譜面に無い音を素早く吹く。 サックスでも出来ますが、金管のはやっぱりかっこいいですね。 我々が「シェイク」と呼んでいる物に近いかも知れません。
筆者より:
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